それから、この奇妙な存在との同居生活が始まった。初めは何かにつけて後ろをついて回るので邪険にしていたけれど、そのかいあってか真似がうまくなった。朝ごはんを作ってくれて、日中家事してくれるなんて、過ごしてみると案外悪いものではなかった。
「らいと、おかえり!」
「ただいま」
にこにこと出迎えてくれるおかげで、帰りの挨拶をする癖も少しだけついてきた。家で誰かと話せるって結構、いいことなのかもしれない。生気だか何だかを奪われるんなら困ったものだが、こちらが提供しているのはこの部屋と牛乳だけ。こんな悪くない話はそうそうないだろう。また今日も賑やかに、作ってくれたご飯を食べて……
ドサ……
突如聞こえた重たい音に、ネクタイを緩める手を止めて振り返る。
「……おい、あお、青!?どうした!?大丈夫か!?!?」