深い深い海からとぷんと顔を出すように微睡から解放される。するすると絡みつく水の束からひとつひとつ離れて行って体が動かせるようになって。まだ少し重さの残る体を起こすと、ぼやけた視界にだんだんピントがあう。未知の生物を拾うに当たって窓を全部塞…
まあまあ、と背を押されて椅子に座らせられる。机の上には湯気の立つスープにパン。大ぶりな野菜が入っていてコンソメの香りもいい。こんな場面じゃなかったら、非常に食欲をそそられるべきだろう。そう、隣のこの男がいなければ。「さあさあ、どうぞ」なん…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。