熱帯夜1

リモートで飲み会をする予定が入ってしまったと。申し訳なさそうに言ってきたのが昨日こと。

構わない。なんなら大事な仕事の一つだろう。仲間とのコミュニケーションは。

だから、わかってる。が、明日。司が休みの日なこともわかっている。そして自分も。だから、今日はずっと一緒に居る日のはずだったな、と。思うくらいは許してほしい。机に身を投げ出して指を遊ばせていると戸が開く音がして目が合う。何が楽しいのかニコッと笑って、冷蔵庫に追加の酒を取りに行ったらしい。それがなんだか癪だったから当てつけのようにもう一本ビール缶を取り出してきた。また同僚との会話に興じている戸はしばらくは開かないだろう。缶を開けるのは少し苦手だけど今日はそれほどてこずらずカシュとさわやかな音を鳴らした。

普段はあまり飲まないよう言われているし、自分でも飲もうとは思わないのだが、今日は、まあ、仕方ない。司が止めないのが悪いのだ。

数口つけると、缶はぐるぐると回りだす。見ていられなくて机に頭を寝かせて、恨みがましく閉じられた扉を穴が開くほど見つめた。時折聞こえる笑い声を引っ張ってきてそれは俺のなのにと言いたい。買ってきた珍味なんかつまんでないで、おれのあたまを、なでているはずだったのに。