それが一番のプレゼント

「こういうのって、どうなんだ……」

なんとなく習慣となっている食後のテレビタイム。それは今日この日も変わらなかった。隣の男が懸命に用意していた豪勢な食事を共にして、プレゼントをもらって……大満足だ。幸福感を感じ、ふわふわとした気持ちで、ありていに言うと透矢は浮かれていた。ソファに並んで何の気なしに指を絡める。左に目をやれば彼の空色には電子な光が瞬いてまぶしい。……ほんとうは、何の気なしというのは嘘だ。けれど今は軽快な音楽のなる板に夢中のようだから飽きるのを待っていようか、なんて。扇風機のかぜを受けてふわふわと揺れる金糸雀色に擦り寄る。

「こういうのって?」

隣に倣い液晶に目をやる。画面では今まさにケーキから指輪が取り出されたところだ。女性は非常に微妙な顔をしている。左上にはサプライズだとかなんだとかカタカナが並んでいた。

「食い物に入れるとか、……好みがわかれそう」

それを大真面目にやっている人間が映っているからか少し言葉を選んでいるようだ。

「おれは、うれしいかなぁ」

だってきっと宝探しみたいで楽しいし、相手がいろいろ準備してきてくれないとできないことだろうし。気づかないで食べちゃうことだけが心配だけど、……確かに食べる直前には教えてほしいかも。浮かれたままへら、と笑って呟く。

「それは」

ゆるく握られていた指がきゅっと密着する。触れている熱が二人の気を引く。燻っていた俺の熱が移ってしまったのかもしれない。そうだとしたら。

「それは、アンタがもらう側ってことでいいのか」

やっと。やっとこちらを向いた。焦がれていた空色はけれど期待よりも熱に浸されていて。その熱が揺れるたび透矢は誘われるように顔に火を灯してしまう。前なら目をそらしてしまっていただろう。それは正しく大空を映しているべきだったから。でも今は。これが自分のものだと理解していた。教え込まされてしまっていた。だから素直に、彼の緊張するとぶっきらぼうになる癖なんかを愛おしむ余裕さえある。

「……俺が渡す側でもいいけど?」

自分がもらう側だと思ってしまっただとか、そんな些細なことはどうでもいい。結局、透矢もこの男と居たいと思ってしまったのだから。

「いや、」

握っていた手を恭しく持ち上げられ、キスをおとされる。いつもの慈しむような表情とは違って、真面目な顔をしていて、それが薬指から離れる様をまじまじと見つめてしまった。

「俺が、渡したい。アンタに受け取ってほしい」

真剣な雰囲気で格好ついてるのに、耳から首にかけては真っ赤に熟れていて愛らしいやら愛おしいやらで胸が破裂してしまいそうで、耐えられず返事の代わりに最愛のキスをおとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「四日後」

わやわやとした二人とも浮かれた雰囲気の中、伺いを立てるような目で翔湊は口を開く。

「ウン?」

「行きたい場所決めとけって言ってただろ。一緒に選びに行きたい。」

「ン……誰へのプレゼントかわからないくらいだ。」